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成年後見制度を初めて利用するにあたって,よく質問がされる事項をまとめてあります。(裁判所ホームページからの抜粋したものを編集したものです) Q 成年後見制度とは,どういう制度ですか。A 病気や事故などにより判断能力が不十分になった人(この手続では,「本人」と呼びます。)のために,家庭裁判所が援助者を選び,本人を保護する制度です。本人の判断能力の程度により,「後見」,「保佐」,「補助」の3種類に分かれています。 Q 申立てをするにあたり,最初に何をしたらよいのですか。A 家庭裁判所指定の「診断書(成年後見用)」及び「診断書附票」を,主治医に作成してもらってください。主治医が精神科の医師でなくても構いません。「鑑定連絡票」を利用し,主治医の方に申立て後の精神鑑定の引受けをお願いしてください。 Q 後見か,保佐か,補助か,どの手続を選べばいいのですか。A 診断書の「判断能力判定についての意見」の欄のどこにチェックされているかを目安にしてください。
Q どこの家庭裁判所に申立てをするのですか。A 本人が実際に住んでいる所(住民票上の住所ではありません。)を管轄する家庭裁判所です。家庭裁判所後見センター及び各支部では,申立てを予約制にしていますので,必要書類等,申立ての準備がをして,管轄する裁判所に,事前に電話で申立て日時を予約をします。 ※「毎日」とあるものについては,土日祝日,年末年始を除く平日です。 Q 申立てができるのは,誰ですか。A 本人,配偶者,4親等内の親族です。多忙であるとか,自分で申立てをするのが不安な場合は,行政書士、司法書士や弁護士に相談してください。 Q 申立てには,どのくらいの費用がかかるのですか。A 家庭裁判所に納めてもらう収入印紙や切手代などが1万円弱と,精神鑑定を行う場合,精神鑑定のための鑑定料が5万~10万円(多くの場合,5万円)程かかります(鑑定料はケースによって異なります)。 Q 審理には,どのくらいの期間がかかるのですか。A 後見,保佐については,本人の精神鑑定を行うため,2月~3月程かかります。 Q 成年後見人,保佐人,補助人には,どういう人がなるのですか。A 本人の身上監護,財産管理を適正に行ってくれる人を家庭裁判所が選びます。本人の親族がなる場合もあれば,弁護士,司法書士,社会福祉士,税理士、行政書士などの専門家を選ぶ場合もあります。要するに,申立人が希望する人が選任されるとは限りません。また,後見人が行う後見事務を監督するため,専門家を監督人に選ぶ場合もあります。専門家を選んだ場合には,本人の財産から報酬を支払うこととなります。 なお,誰を成年後見人等に選任するかについては,家庭裁判所が職権で判断する事項であり,これについて不服申立ての規定はありません。 Q 成年後見人,保佐人,補助人には,どのような役割がありますか。A 成年後見人等は,本人の意思を尊重し,かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,本人に代わって,財産を管理したり必要な契約を結んだりすることによって,本人を保護・援助します。本人が誤った判断に基づいて契約を締結したような場合には,それを取り消して,本人の利益を守るようにしなければなりません。 また,成年後見人等は,その行う事務や財産管理の状況を家庭裁判所又は監督人に報告し,家庭裁判所又は監督人の監督を受けることになります。 Q 成年後見人等に選任されたら,具体的にはどのような仕事を行うのですか。A まずは,本人の財産の状況を明らかにし,本人の預貯金,有価証券,不動産,保険などの内容を一覧表にした「財産目録」を作成し,家庭裁判所に提出します。また,本人の生活のための費用を本人の財産から計画的に支出するため,本人の収入,医療費や税金などの決まった支出を把握して収支の予定を立て,「本人収支表」を作成します。 日常の財産管理においては,本人の預金通帳などを管理,保管し,本人の財産からの支出を金銭出納帳に記載し,領収書を一緒に保管しておき,その使途を明確にしておく必要があります。 また,必要に応じて,介護サービスの利用契約や,施設への入所契約などを,本人に代わって行います。 そして,家庭裁判所又は監督人から求めがあれば,成年後見人等は,財産目録,本人収支表に通帳コピー等の財産資料を添付して,家庭裁判所又は監督人に財産管理状況を報告します。 Q 成年後見人等に選任されたら,本人の不動産に担保を設定し,金を借りることができますか。A 成年後見人等は,本人のために,本人の財産を適切に維持し管理する義務があります。そのため,一般的に本人の利益を損なうような,以下のような行為は原則として許されません。
Q 仕事は,いつまで続くのですか。A 本人が死亡又は本人の能力が回復するまで続きます。 申立てのきっかけとなった,例えば「保険金を受け取る」とか,「遺産分割をする」といった手続が終了したとしても,成年後見人等の仕事が終わるわけではありません。 また,成年後見人等の仕事をしている間は,家庭裁判所による後見監督を受けます。 よって,家庭裁判所からの求めがあれば,成年後見人等は家庭裁判所に対して後見等事務の報告をする必要があります。本人の財産を使い込む等,不適切な後見等事務をしたことが確認された場合,その内容の程度によっては,後見人等を解任され,損害賠償,業務上横領等の民事上,刑事上の責任を問われる場合がありますのでご注意ください。 Q 後見開始,保佐開始の審判を受けると,本人の社会生活に,何か制限が加わるのですか。A 本人が後見開始の審判を受けると,本人は印鑑登録ができなくなります。また,本人が後見開始・保佐開始の審判を受けると,医師,税理士等の資格や,会社役員,公務員等の地位を失うことになっています。補助開始の審判については,資格制限に関する規定はありません。 Q 後見,保佐,補助の審判を受けると,本人の戸籍か何かに載るのですか。A 東京法務局が管理する「後見登記等ファイル」に,登記されます。本人の戸籍に記載されることはありません |