後遺障害認定のポイント

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後遺障害認定のポイント 1.自賠責保険の後遺障害等級の認定基準  

 自賠責保険における後遺障害は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一で「介護を要する後遺障害」について1級と2級、別表第二でその他の後遺障害について1級から14級まで定められており、各等級ごとに保険金額【支払い限度額】が定められています。

 自賠責保険における後遺障害の等級認定は、自動車損害賠償保障法16条の3に基づいて定められた自賠責保険支払基準額により、原則として労災保険の認定基準に準拠することとされています。 

 労災保険の認定基準には、身体の部位(眼-眼球、まぶた、耳-内耳等、耳介など)と部位に対応する障害群(眼-眼球⇒視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害)を区分した「障害の系列」と労働能力喪失の程度に応じて1級から14級に配列された「障害の序列」を定めた障害等級表があり、部位別に障害等級の認定基準が定められています。

2.後遺障害の定義

 労災保険の認定基準では後遺障害の定義が設けられていますが、以下の4つの要素から構成されています。

この定義は、自賠責保険における後遺障害の等級認定を行ううえで重視されており、これを実務では、「4要件」と呼んでいます。

下記のいずれか1つの要件が欠けても、後遺障害と認定されることはありません。

  後遺障害認定4要件

 ①傷害がなおったとき(症状固定時)に残存する当該傷害と相当因果関係があり、
 ②将来においても回復困難と見込まれる精神的または身体的障害があり、
 ③その存在が医学的に認められ、
 ④労働能力の喪失を伴うもの

 

上記①でいう「傷害が治ったとき」とは、これ以上治療を継続してもその効果が期待できない状態で、残った症状が自然的経過によって到達すると認められる最終状態(症状固定)に達したときを言います。

 また、上記④でいう「労働能力」とは、一般的な平均的労働能力をいい、被害者の年齢、職種、利き腕、知識、経験等の職業能力的諸条件については、障害の程度を決定する要素にはなっていません。

3、損保算定料率機構における後遺障害等級認定  
 

 症状固定時に残っている障害が労災保険の認定基準に該当するかどうかの判断は、損保料率機構が行います。

損保料率機構では、提出された診断書、診療報酬明細書、後遺障診断書、X-P、MRI等の画像、その他の検査結果を基に顧問医に相談のうえ、等級認定を行なっています。

 しかし、労災保険の認定基準には抽象的に規定されている部分があるため、顧問医や担当者により後遺障害等級の認定判断が異なることが起こることがあります。

このような後遺障害の代表例は下記の4つです。 

 むち打ち・骨折等による痛み・しびれ(軽度神経症状)

 脊髄の障害                                

 高次脳機能障害

 うつ等の精神症状(非器質性精神障害

自賠責地方本部での後遺障害認定、等級認定判断が困難な場合、さらに医療証拠の収集確認が行われることがあります。
 その際、主治医などに対し医療照会が行われたり、審査レベルを上げて関東甲信越本部での合議による審査が行われることもあります