証拠が大切⇒病院の検査、診断内容 14級・12級その症状の原因は何 ? |
症状の原因を突きとめ14等級、12等級獲得を 見落とされがちな 胸郭出口症候群 胸郭出口症候群とは、胸郭出口付近で神経が圧迫される病態です。 胸郭出口とは、脊椎から枝分かれした神経や血管が腕に向かう途中、鎖骨を第一肋骨の間、斜角筋に挟まれた位置を通ります。この部分を指します。 この部分はスペースが狭く、事故で斜角筋を損傷して血腫ができ、それが神経を圧迫するなどして胸郭出口症候群が起こります。 特にこの胸郭出口のスペースが狭い身体的特徴を持つ人に起こりやすいとされています。 女性であれば首が長くなで肩のいわゆる日本美人的体格の人、男性であればいかり肩や筋肉質、首の短い人がなりやすいと言われています。 治療方法としては保存的療法が一般的ですが、ペインクリニックによる神経ブロック治療が効果的です。 また、圧迫が酷い場合には手術が検討されることもあります。 根本的な治療としては体格の改善が重要で、胸郭出口付近の筋力増強が効果的です。 ウエイトトレーニングや水泳などが良いとされています。 後遺障害等級としては、症状によって12級あるいは14級の対象となります。 頚椎由来の神経症状との区別が難しく、頚椎には異常なしとしてそれ以上の検査を受けていないことが多いので、まずは正しく検査を受けることが第一歩となります。 頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気といった症状
交通事故によって怪我をした後、頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気といった症状が出る場合、 これらの原因の特定が困難なことがよくあります。こうした症状を引き起こす原因には様々なことが考えられ、ケースによっては事故のショックによる精神的ストレスによって起こる精神的なものであることもあるからです。 精神的なものであるかどうかの判断の一つの目安となるのは、胃潰瘍などの胃炎を起こしているかどうかです。 ストレスによって胃酸が過剰分泌されるなどして胃潰瘍などを引き起こしている場合は、 胃以外の部分にもストレスが悪影響を及ぼしていることが考えられます。 この場合はまずは内科的な検査によってしっかり精神的な異常があることを確認して下さい。 よく「特に異常がないから精神的なもの」との判断をされたという話を聞きますが、精神的なものだと診断するのであれば、それこそしっかりとした検査をした上で判断すべきものです。整形外科が「精神的なもの」と判断する場合、結局のところ原因がわからないという意味であることが多いようです。 このような医師からは一刻も早く逃げたほうが賢明です。 挙句は精神科へ回され、精神科でも異常は認められず仮病と断定されるのがオチです。 精神的なものでないとすれば、頭痛については脳か頚椎の神経の異常、 めまいや耳鳴り・吐き気といった症状は頚椎の神経の異常であることが多いようです。 背中や腰の辺りから髄液が漏れる脳髄液減少症であることもあるようです。 優先順位としてはまずは脳に異常がないか調べてもらうことが第一です。 異常があれば一大事という部分から順に診てもらうのが基本だからです。次に頚椎です。 後は様々な症状に応じて耳鼻科や眼科でも検査を受ける必要があります。 これら全てを入念に検査を受けると同時に、こうした自律神経症状については ペインクリニックによる神経ブロック治療を並行して受けることで症状の改善が見られることも多々あります。 これは事故の衝撃で神経が異常な暴走状態になっているものの、 その暴走さえ一旦止めてしまえば症状はきれいに治まるという事が結構あるからです。 大切なことは、細かい症状であっても気になることは全て主治医に伝え、しっかりとカルテにも記載してもらうことです。 これをやってもらっておかないと、後から保険会社に事故との因果関係を否定されるなど、理不尽な対応をされることがあり、証拠がないということでご自身の権利を守ることができません。 ご自身が取るに足らないと思っても、事故前と違う症状があれば全て漏れなく伝えることです。そして、その症状一つ一つについて妥協なく原因特定のための検査を受けること。 治療のためだけであればこれらの検査は必要ないものもあります。 ですが加害者や保険会社にきちんと賠償してもらうためには、 事故によって生じた症状であることの証拠が必要です。 証拠とは病院での検査・診断内容です。 これがなければ保険会社は「根拠がないから」と簡単にあしらい支払いを拒否します。 こうした自律神経症状は特に因果関係の特定が難しい部分ですので、きっちり医師に症状を伝えていることが非常に重要です。 しっかり伝えても必要な検査や処置、必要に応じて他科を紹介するなどの対応を取らない医師に対しては、患者側から積極的に、必要な科の医師の紹介を求めましょう。 医師は医学については専門ですが、賠償つまり法律については一般の素人と同じです。 患者としては医師に反感を持つのではなく、 ご自身がしっかりと理解してきちんと説明した上で理解を求め、対応を促す必要があるのです。 手足がしびれる症状 手足がしびれるというのは、一般的には神経が圧迫されていることによる症状です。 手がしびれる場合は頚椎(首)を、足がしびれる場合には腰椎(腰)の神経の圧迫をまずはチェックします。 椎間板のヘルニアなどによって神経の圧迫が確認されれば、その圧迫を手術によって取り除くか、保存的療法で様子を見るかの選択となります。 軽いしびれである場合は街の整形外科では特にこれといった治療をせず、 牽引やマッサージ等の理学療法を気持ち程度に行うだけということが多いですが、 出来れば積極的にペインクリニックの紹介をお願いするなどして神経ブロック治療も受けるほうが良いでしょう。 頚椎にも腰椎にも異常が見られないのに手足がしびれるという場合には、他の原因をチェックする必要があります。 事故時に頭を強く打つなどしている場合には脳の検査は当然ですが、 手足のしびれが局所的なものであれば、そのしびれに対応した末梢神経をチェックする必要があります。 事故時に手足を打撲している場合は、その付近の神経もチェックする必要があるでしょう。 しびれや痛みといった症状以外にどのような症状があるかを正確に医師に伝えることも重要です。 むち打ち以外に特にどこも打っていなくて、手がしびれるけれど頚椎には何も異常がない。 このような場合、もう少し念入りに頚椎の状態を調べる必要があると同時に、胸郭出口症候群も疑ってみたほうが良いでしょう。 首から手のほうへ向かう神経が、鎖骨と第一肋骨の間の部分を通る所を胸郭出口と呼びます。 斜角筋にも挟まれた狭い空間ですが、むち打ち状態になった時にこの斜角筋を損傷し、 ここから血腫が生じて胸郭出口付近の神経叢を圧迫していることがあります。 これを胸郭出口症候群と呼びますが、これによってもその先の手のしびれが発生することがあります。 腕を上げたりカバンを肩に掛けたりするとしびれの症状が増強するという方は、 この胸郭出口症候群も疑ってみて下さい。頚椎ばかりを見ていてはこれを見落としてしまいます。 基本的にはむち打ちの方は整形外科に通院しているものと思われますが、 街の整形外科は骨折専門と思ったほうが良く、骨折していないむち打ちなどは軽く扱われがちです。 また神経に関して必ずしも専門とは言い難い面がありますので、 しびれなどの神経症状が出ている場合は神経内科のほうが専門医といえるかもしれません。 さらに、しびれの症状があまりに酷い場合、神経根の圧迫ではなく脊髄の圧迫があることもあります。 街の整形外科では骨折がないむち打ちで脊髄の損傷を疑わないことが多いので見落としていることがありますが、 むち打ちによって中心性脊髄損傷となっていることも稀にあり、 中心性脊髄損傷では神経症状は上半身に限られ、 症状としては頚椎の神経根症状と区別がつきにくいため脊髄損傷を疑わずに見落とされているケースがあるのです。 しびれの程度があまりに酷い場合や、他にも明らかに事故前と比べておかしな部分がある場合は、街の整形外科ではなく大学病院の脊椎外来を受診するようにして下さい。 末梢神経の損傷については、どれだけ入念に検査を受けたとしても 必ずしもどこかに異常が見つかるということではありません。 画像によって特に異常が認められず、 神経学的検査によっても特に異常が認められない程度の痛みやしびれについては、 少なくとも適切な治療を受けているかどうかという点で後遺障害認定の判断とされます。 街の整形外科の理学療法室で漫然と効果のないリハビリを受けているだけでは、 本当にしびれや痛みがあったとしても、それらの症状はないものとして後遺障害については判断されます。 検査だけでなく治療面においても、保険会社任せ、主治医任せではなく患者主導の選択が求められます。 神経学的検査 交通事故による受傷後に、上肢や下肢にしびれ等の症状があらわれることがあります。 このような症状の原因を確認するために行われる検査が神経学的検査です。この検査を行うことにより、障害のある神経根や脊髄のレベルが分かります。 1.腱反射検査 深部腱反射(上腕二頭筋腱反射、上腕三頭筋腱反射、膝蓋腱反射、アキレス腱反射など)の亢進、低下、消失がチェックされます。本人の意思が入らない検査です。 2.知覚検査 触覚、痛覚、温度覚、振動覚、位置覚が異常かどうかチェックされます。 3.徒手筋力テスト(MMT) 筋力が低下しているかどうかチェックされます。 筋力の程度は下記の6段階で評価されます(医師によってはさらに細かく評価することもあります)。 |
判定 | グレ |ド | 検査結果内容(医師所見を含む) | 正常 | 5 | 重力および最大抵抗に打ち勝って身体の一部を関節可動域いっぱいに 動かすことができる。 | 良 | 4 | 重力および最小限から中等度の抵抗に抗して動かすことがで きる。 | 可 | 3 | 重力のみに抗して動かすことができる。しかし、少しでも抵抗を加えると、関節可動域いっぱいに動かすことはできない。 | 不可 | 2 | 重力を除いてやれば関節可動域いっぱいに動かすことができる。 | 僅少 | 1 | 全く動かすことはできないが、筋の収縮を視診や触診で認める | | 0 | 視診でも触診でも筋の収縮を認めない。 |
4.病的反射検査 皮膚の表面に刺激を与えて指や足趾に異常な動きが引き起こされるかチェックされます。 病的反射は正常では認められないもので、反射が現れると病的意義を有することが多いとされています。 (1)バビンスキー反射 足の底を刺激して、母趾の背屈が起こ るかどうかをチェックします。 (2)ホフマン反射 中指の爪をはじいて、母指が屈曲するか どうかをチェックします。 (3)トレムナー反射 中指を掌側からはじいて、母指を含む 指が屈曲するかどうか等をチェックしま す。 (4)足クローヌス 足先を持って足関節を勢いよく背屈させ て、足の屈曲、背屈が交互に反復的に 生じるか否かをチェックします。
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