休業損害 |
休業損害請求とは、事故による負傷で休業しなくてはならなくなったため、被害者が
現実に得ることできなくなった収入分を損害として、請求することです。
交通事故で職場を辞めざるを得なくなた場合や、解雇された場合にも、事故との間に相当因果
以下の例をご参照ください。
計算例
例1 サラリ-マンの場合
実務では、事故前3ケ月の給与の平均を基に計算します。
10月10日に事故発生(給与締め切りは月末とします。)
給与には、各種手当、残業分などを含みます。
計算 月給与総額 休業期間(10月10日~11月30日---50日間)
7月分給与 | 286,000円 | |
8月分給与 | 324,000円 | |
9月分給与 | 290,000円 | |
合 計 | 900,000円 | 7,8,9月分 |
日額 9,000,000÷90= | 10,000円 | 日額 |
休業損害額 10,000×50=500,000円
(注) 有給休暇を使用した場合---現実に収入減がなくても休業として請求
できます。
休業による賞与の減額、不支給や昇給・昇格の遅れなどによる
損害も請求出来ます。
損害保険会社に申請用紙が有ります請求して下さい。
(注) 損害賠償金は非課税です。
実務でも休業損害の算定では税金は控除しません。
例2 ⑴ 主婦(主夫)などの場合(家事従事者)
最高裁は、家事従事者が交通事故で休業した場合も休業損害の賠償責任
を認めています。
損害の算定方法は、賃金センサスの女子労働者の全年齢または、年齢別
平均賃金の額をもとに算定します。
計算式 賃金センサス女子労働者平均賃金の額 ÷365×休業日数
348万9000円÷365日=9558円90銭となり、自賠責定額5700円より3858円90銭(日額)有利
となります。⑵ パ-ト等の収入があり賃金センサスを上回る収入がある場合
前年度の実収入をもとに計算します。計算式 前年度収入額 ÷365×休業日数
パートと給与所得者の区別の基準 1週間の労働時間が30時間未満はパート、以上は給与所得者( これは絶対的な基準では有りません。まずは、有利な方をしっかり主張してみてください。)
両者の区別の実益・差異 パート労働者は例2の有利なほうを選択できます。給与所得者は実収入をもとに計算します。 参考 休業日数の数え方:実際に家事につくことができなかった日数です。
裁判例
: 入院期間:全日数を認める。
: 通院期間:症状固定まで実際の家事の状況から判断。
:全く家事ができなかった場合は
全日数(100%)を賠償
:その他、家事従事の実際から90%、
80%、75%、50%、30% 等、様々です。年少の子供がいる場合やお年寄りがいる場合等は、有利になる傾向が有ります。
家事労働の実際を詳細に立証することが大切です。例3 学生・生徒や失業者の場合
収入ががない人には原則として休業損害は認められません。
ただし、 アルバイトなどによる収入が有る場合、交通事故による傷害の治療が長期におよび卒業や就職が遅れた場合には、就職すれば得られたであろう収入が損害として認められます。
例4 家賃・地代収入、年金収入や生活保護などで生計を立てている人
交通事故にあっても収入が減少することはないので、休業損害の請求はできませ
ん。
例5 事業所得者: 商工業・農林水産業等の個人事業主もしくは自営業者
自由業者(開業医・弁護士・著述業・ホステスなど報酬等によって生計を営 む者)。
自営業者の休業損害の算定は、本来得られたはずの売上額から、これを得るために
必要としたはずの原価と経費を差し引いたものです。売上額や原価、経費は休業前
の実績の 平均的数値に基づきます。
休業損害=(所得-原価-経費)(円/日) × 休業期間(日) |
所得(売上額)は、原則として
※実際に確定申告よりも収入が多い人は、それを 証明しなければなりません。
※毎年の収入に大きな差のある人は事故前三年くらいの年間平均収入を基礎とします。
経費は、固定費として、休業中も事業の維持存続のために支出することがやむを得
ないものは、売上額から差し引かずに算定します。
※その結果収入が多かったことになり、休業損害の賠償額が多くなります。
料、利子割引料、広告宣伝費、接待交際費、修繕費、福利厚生費、諸会費など
がありす。
事業所得に、事業主自身の働きによる利益だけでなく、利息収入や家族や従業員の
働きによる利益が含まれる場合、休業補償の対象となるのは、被害者である事業
主自身の働きによる利益分のみとなります。
※その結果賠償額は少なくなります。