過失割合 |
過失割合は、加害者の刑事処分に重大な意味を持ちます.
また、損害賠償請求においても過失割合分だけ減額されることになります。相手過失が95%、ご自分が5%なら、賠償請求額が1000万円の場合、950万円の請求が可能となり得ますが、ご自分の過失が10%で示談してしまうと900万円となります。わずかな割合の変更ですが、金額でみると大きな差があると感じてしまいます。
しかし、実際の事故後の相手方保険会社との話し合いでは、相手方が信号無視をしていても「動いている車で過失がないことは有り得ない」等と強引に「10%の過失はあるよね」と認めさせられることが往々見られます。
実況見分に立ち会えたか、その調書が事実に基づき正確に記載されたか事故の様々な物理的、心理的要因の解明が必要不可欠です。
通常は、別冊判例タイムズ16.同38などを実際の交通事故発生状況にあてはめて類推適用して判断しています。
また、最終的には、検察庁や裁判所が割合を決めることになりますが、正確な事故状況が反映されるかはキチンと市調査が必要な場合が出てきます。
是非、交通事故専門家に相談し意見をご確認下さい。
Ⅰ 事故の原因に被害者の不注意が有る場合
過失相殺が検討されます。
過失相殺は過失の割合に応じて行われます・その結果賠償請求額が減額されます。
✲過失相殺とは | ||
交通事故の場合は、加害者が100%悪いというケースは少なく、ほとんどは被害者にも何らかの過失がある場合が多いものです。 このように被害者側に過失がある場合に、被害者側の過失割合に応じて損害賠償額を減額することを過失相殺(かしつそうさい)と言います。 過失割合によって、被害者が加害者に請求できる金額が違ってきますから、この割合をどう決めるかは大変重要になってきます。(下記例参照) 以下の例は、ごく一部の例で、この基準で、事例によって過失割合を加算させる修正要素、あるいは過失割合を減算させる修正要素が加味されて判断されます。下記ケースは、あくまで参考資料にとどめ、きちんと判断したいときは専門家の意見を聞くなど、十分に検討して下さい。 ※損保会社の人は事故対処の経験豊富で、詳しいですが、全て正しい訳でもありません。鵜のみにしてはいけません。 聞く人によって判断が違う場合が出てくることも多いと思います。
過失割合の決め方は判例タイムズ社が発行する「民事交通訴訟における過失相殺基準の認定基準」東京地裁民事第27部編(交通部)という本を参考に決める事になりす。(保険屋さんはこの本で過失割合を決める)
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Ⅱ ✲ 過失相殺の方法
例
被害の合計 | 被害者の過失割合 | 被害者の請求可能額 |
1000万円 | 20% | 800万円(1000万円×0.2) |
1000万円 | 30% | 700万円(1000万円×0.3) |
✲ 過失相殺の仕組み
第1 歩行者と車の事故
全損害500万円
全 損 害(車・歩行者) | 過失割合(歩行者) | 歩行者の負担額 | |
500万円 × | 25% | = 125万円 歩行者の負担額 |
全 損 害 (車・歩行者) | 過失割合(車側 ) | 車の負担額 歩行者が受領できる損害賠償額 | |
500万 × | 75% | = 375万円 |
第2 車と車の事故の場合
A車とB車が交差点で衝突
治療費 | 車の修理代 | 過失割合 | |
A車側 | 600万円 | 40万円 | 70% |
B車側 | 500万円 | 60万円 | 30% |
1、過失割合に応じた負担
(1) 運転者に生じた損害(人損)
① A車運転者の治療費600万円
A車が 70% の割合 | B車が 30% の割合 |
A車の負担額 420万円 | B車の負担額 180万円 |
② B車運転者の治療費500万円
A車が 70% の割合 | B車が 30% の割合 |
A車の負担額 350万円 | B車の負担額 150万円 |
(2) 車の修理費(物損)
① A車の修理費40万円
A車が 70% の割合 | B車が 30% の割合 |
A車の負担額 28万円 | B車の負担額 12万円 |
② B車の修理費60万円
A車が 70% の割合 | B車が 30%の割合 |
A車の負担額 42万円 | B車の負担額 18万円 |
2 結論 A車、B車各々の請求可能金額
A車からB車へ | B車からA車へ | ||||
人損分 | 180万円 | 合計 | 人損分 | 350万円 | 合計 |
物損分 | 12万円 | 192万円請求できる | 物損分 | 42万円 | 392万円請求できる |
参考事例
基本的ケ-スと過失割合 |
ごく大まかな例です。 実際には、様々な過失割合の加算、減算の要素が考慮されますので、判例や資料の検討が重要です。 以下の基本例はあくまでも判断材料の一つとして検討してみて下さい。 |
車 対 車(バイク) |
四輪車同士の事故の場合は、当事者双方にほぼ同じ注意義務と安全運転義務があります。このため被害者側にも何らかの過失がある場合が多いのが特徴です。ここでは大まかな例だけいくつかあげておきます。 ◆バイク特有の過失要素
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歩行者 対 車 自転車 対 歩行者 |
歩行者と四輪車の事故の場合は、歩行者が被害者になることがほとんどです。そして、被害者が負傷したり、場合によっては死亡につながることもあるので、歩行者の過失割合が比較的低く抑えられています。 ◆信号機のある交差点における事故 ◆信号機のない交差点における事故 (2)横断歩道外横断歩行者25% × 直進車 75% 加減要素 時間帯・場所・年齢・幹線道路などが考慮されます。 ◆自転車特有の過失要素 (1)夜間の無灯火 (2)二人乗り (3)手放し運転―大きな加算要素 (4)傘さし運転 (5)携帯電話操作中
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修正要素 |
交通事故の場合、上のような基準に、事例によって過失割合を加算させる修正要素、あるいは過失割合を減算させる修正要素が加味されて判断されます。 |
高速道路上の事故 (追突車A:被追突車B) ◆追突事故(渋滞による停車した被追突車に道交法上特別な義務が課されない場合) (2)追突された側が急ブレ-キをかけたことによる追突(基本50:50)
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(1)人身事故の場合
自賠責保険 被害者の過失70%まで(重過失なし) 障害 120万円(限度額)全額補償されます。
↓ 死 亡 3,000万円(限度額)全額補償されます。
自賠責の限度額をこえて損害発生した場合
任意保険 ⇒⇒過失相殺を行う (自賠責の補償範囲を含めて行います)
例 1 障害事故(後遺障害なし) 損害額 200万円
被害者側の過失割合30%
自賠責限度額 + 任意保険負担額 × 過失割合
誤 120万円 +80万円×70%=176万円
正 (120万円+80万円)×70%=140万円 正しい計算
例 2 障害事故(後遺障害なし) 損害額 200万円
被害者側の過失割合50%
自賠責限度額 + 任意保険負担額 × 過失割合
誤 120万円 +80万円×50%=160万円
正 (120万円+80万円)×50%=100万円 正しい計算
(2)物損及び人身事故の場合 ⇒ 上記、過失相殺の仕組み第2をご参照ください。