(国民)健康保険・労災保険を使うべきか

 自動車事故の治療に(国民)健康保険・労災保険はを使うことはできます。

 しかし、損害保険会社からは(国民)健康保険等を使ってくださいと言われ、病院からは自動車保険を使ってください(自由診療にしてください)と、言われ判断に迷う方が少なからず有るようです。

 知っておくべきことは、自動車事故の治療に健康保険や労災保険を適用して受診することはなんら違法、脱法な行為ではないということです。そればかりか、被害者にとって、経済的(金銭的)有利になることが有ります。

健康保険を使うことのメリット・デメリット

1 一番のメリット   

  被害者にも過失が有るときメリットが大きい

  自由診療に比べると治療費が安くなることです。(病院は、収入見込みが半減するので嫌がること
   
が多い)

  損保会社の要請に応じて健康保険を使うと治療費の支払いは月末締切で損保会社が病院に支払って
    くれます。

2、被害者に過失がある場合は、健康保険を利用して治療費を安く抑えたほうが得だ、と言えるでしょう。

 例えば、被害者側に過失40%があるとされる場合
      自由診療で治療費が100万円かかったとすると、慰謝料などの賠償金から40万円
       ひかれます。
      健康保険を使うとまず医療単価が半分程度となりますので治療費自体も半額の50万
       円となります。
       この場合保険料の3割が自己負担だとすると50万×0.3=15万となり
       被害者側の過失が40%であれば15万円×0.4=6万円ですから

      自由診療に比べ賠償金からひかれる額は34万円も有利になります。

 このように、被害者の過失がある場合で治療費が高額になる場合は健康保険を使うメリットは大きいと思います。

3、治療費が安くなることで損保会社からの強引な治療打ち切り攻撃も少なくなる可能性もあります。

  つまり、健康保険を使うと被害者も、損保会社もをするということです。

例をもう一つ (被害者が得をする例です)

                       第三者後遺災害傷病の実務(計算例)

  被災者Aに30%の過失がある場合の例
  過失割合  A:30%     B:70%
 
  自由診療(保険会社任せ)        国民健康保険
 治療費   4,000,000        2,000,000
  
 健保負担(7割)
  1,400,000
 被害者負担(3割)
   600,000
 休業損害   1,200,000 
  1,200,000
 慰謝料     800,000      800,000
 上記合計   6,000,000  1,400,000  2,600,000
 過失相殺(30%) ▲ 1,800,000  ▲420,000  ▲780,000
 損害賠償額   4,200,000
    980,000
 保険会社への休償額
  1,820,000
 病院への支払
(治療費)
   4,000,000     600,000
 被害者の受け取り分     200,000    1,220,000(+高額療養費) 
  国保を使った方が1,020,000+高額医療費分得になります  
 

 デメリットは何か

 健康保険を使うとをする人がいます。病院に政府、健康保険組合などです。
 この人たちと揉めることが有ります。

 1 大手企業サラリ-マンの方は健康保険組合と揉め、会社内の立場が悪くなることも考えられますから健康保険の使用を慎重に検討してみて下さい。

 ただ、制度上被害者で有る方が健康保険を使いたいといった場合、断られることは有りません。

  個人の負担が大きくなる場合は健康保険組合と相談なさるとよいでしょう。  

 2 病院と揉める場合

  利益が半額程度に減ってしまう病院にとって「被害」(収入見込み減)は深刻です。
    治療意欲も減退することでしょう。

  被害者の方に過失がある場合は負担が大きくなることを病院によく説明して、理解してもらうよう
    
努力しましょう。

 3 被害者に過失がない場合、考えられるデメリットは損保会社が、治療費の支払いを一方的に打ち
 切ることが考えられます。

  治療費支払いを打ち切られたら健康保険を利用する、ということも考えの一つです。

  

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