相続人が遺言を無視できるか |
遺言通りに相続がされるとは限らない
遺言は、死亡した被相続人の最後の意思表示です。その内容は、原則として尊重されなければなりません。
しかし、相続人全員が話し合い全員が合意すれば、個々の相続分、相続財産など遺言内容と異なる遺産分割をすることが出来ます。
死亡した被相続人が、自分の意思を尊重してもらいたいなら「自分の意思を尊重してほしい」と書き残して相続人らの情に訴えるるか、遺言執行者を指定しておくしかありません。
遺言執行者は、原則として遺言内容通りの執行をする義務が有るからです。
しかし、それでも相続人全員の合意による遺産分割協議がまとまった場合などでは、遺言執行者も相続人の意思を尊重してその合意を認めることも有ります。
遺言の他に生前贈与を考えるのも一案
特定の相続人により多くの遺産を与えたいと考える方は、やはり生前贈与をしておいた方がご自分の意思をかなえやすいと言えるでしょう。
相続人の合意より
遺言内容が最優先される場合もある
認知や遺贈、あるいは寄付行為などの指定がなされる場合には、その遺言内容が優先されます。相続人全員の合意でもその遺言執行を妨げることはできません。
遺言書を勝手に開けると過料5万円
封印された遺言書(遺言書らしきもの)は、勝手に開けてはいけません。
公正証書遺言のほかは、家庭裁判所で相続人が立ち会って開封する「検認手続き」をするのが決まりです。
検認手続きとは
その遺言書が、法律上の遺言方式に適っているか。
遺言者本人が作成した者か。
等を確認して証拠として保全する手続きです。
遺言の有効、無効を判断するものでは有りません。
なお、遺言書を裁判所に提出しないで勝手に開いたり、勝手に執行したりすると、5万円以下の過料に処せられます(民法第1005条)。
また、遺言書を隠したり、捨てたり変造した場合は相続欠格となり、相続の権利を失うことも有ります。